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第5章 読み物資料
1.キジバトと私
猪 野 智 子
「ピィ一、ピィ一」
兄の手から、聞こえる声。それは、キジバトの子ども。すから落ちたキジバトの子どもを、兄が助けました。
最初、えさは何がいいのか困りました。でも、とりあえず、あわ、ひえ、キャべツをすりつぶしてお湯をかけ、温かいうちに食ベさせました。
朝は、私がえさをやります。夜は、兄と私でやります。お昼は、おばあさんがやってくれます。朝当番の私、朝6時ごろ起きてえさを早めにやります。少しでもねぼうをすると、キジバ卜は、
「ピィ一、ピィ一」
と、さわいで、私のことを起こします。
キジバ卜育てに入って、4日になりました。父と兄でキジバ卜の小屋も作りました。 朝、天気がいいときは、小屋に入れて、日があたる所に置いてあげます。そうすると、いつの間にか、親鳥が来ていて、子どもを呼んでいるように、ひっしに鳴いています。子どものキジバ卜は、答えるように、 「ピィ一、ピィ一」 と鳴きつづけます。
そんな日が何日もつづき、1週間ちかくなりました。そんなキジバ卜の親子を見ていたら、助けた子どものキジバ卜が、だんだんとうくヘ、だんだん私からはなれていくような、そんな気がします。
私と兄は相談し、キジバ卜の子どもをはなしてやることにしました。私と兄は、キジバ卜の子どもに飛ぶけいこをさせました。キジバ卜の子どもは、なかなかはやく飛ベるようになりました。
それから少したった木曜日、親鳥がいつものように、家のふじだなの所ヘきて、ひっしに鳴いていました。私は、ちょっと悲しい気持ちになりました。なぜかとゆうと、今日、あのキジバ卜を親のもとへ返すのです。
私は、心をきめて、助けたキジバ卜を手に持ち、ふわっと飛ばしてあげました。キジバ卜は、風に乗って、ふわっと飛びました。 子どものキジバ卜は、親に向かって、 「ピィ一、ピィ一」
と、さけんでいました。まるで、 「お毋さん、助けて。」
と、言っているように、私にはきこえました。親のキジバ卜は、それに答えず、ついておいで、
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