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見守ってくれた君へ
君に初めて会った時、君は私の父と家の書斎で何かを相談しているようであった。礼儀上のことで、私はにこにこして 「初めまして」 と挨拶をしたが、君は無表情で何も言わずに、頷いただけで挨拶として返事が返してきた。
「あれ、礼儀の悪い奴だ」と思いながら、父は君のことを紹介してくれた。 「琳ちゃん、こちらは俺の学生で、お兄さんと呼んで」
こういう話を聞くと、私はひそかに笑い出した。40歳近くの人を「お兄さん」と呼ぶなんて、おかしいのではないかと思った。
二回目に君に会った時、友達の吉田さんが故郷へ旅行に来た。父は吉田さんを誘ってホテルで食事をしていった。最初、君の姿が現れた時、本当に息をのむほどびっくりした。なぜ父は君を呼んだのか、頭を抱えてもわからなかった。外国人たる吉田さんは年を取っているし、佛山という遠いところから来たので、みんなが緊張していた。簡単な挨拶した後、みんなはがやがやとしゃべり始めた。その時、私は日本語を勉強してからただ一年間しかなかったので、聞き取れないところがいっぱいあった。吉田さんとの会話がにっちもさっちもいかない時は、君がいきなりこっちのほうに向いて説明してくれた。意外なことで吉田さんと私もびっくりした。やっと、君が来た目的が分かった。後で私と吉田さんが「若者の恋観念」について相談していたところで、君は 「琳さん、もしあなたの恋人が戦争のために故郷から離れた。何十年後帰れるかもしれない。あなたは彼をずっと待とうとするのか」
と聞いた。その時、私が思い浮かべたのはこの問題の答えではなく、「君と会って以来、もう三か月だ。君は初めて私の考え方を聞いた」ということでだった。
三回目に君と会ったのは、去年の11月ごろ、君は父に頼まれ、コートと布団などを持って来てくれた。その夕方、初めて私たちは二人で一緒に食事した。食事の途中で、君は突然ノートを取り出し、私に見せながら、「琳さん、これは『風立ちぬ』という本から抜き書きした話なんだが、翻訳してみて」。その話は「二人の人間がその余りにも短い一生の間をどれだけお互いに幸福にさせ合えるか?抗いがたい運命の前に静かに頭を項垂れたまま、互いに心と心と、身と身とを温め合いながら、並んで立っている若い男女の姿…」というものだ。食事を終えた後、私たちは学校内で散歩しながら、色んな事についてしゃべった。文学とか、大学での生活とか、小さい時の面白さとか、君の人生経歴とか、未来に対する不安など、今でもはっきりと私の記憶の中に残っているのだ。そ
の夜、君とおしゃべりしながら知らないうちに、3時間も過ぎた。
それから、君との関係は微妙に変化が生じてきた。君もそう思ったのか。それまで、私たちは会っても、ただ礼儀上の挨拶した。今や、会った時本当に悦に入りながら、心から出てきた笑顔で挨拶するようになった。
四回目に君と会った時、私は病気になっていた。あの夜、君は電話の向こうで時々私が咳をしたせいなのか、心配になって、次の日は車で学校まできてくれた。その時私は勉強や仕事で手が離せないほど忙しかったから、病院に行く時間もないし、どうしても行きたくなかった。君は気がせいてもしょうがなかったが、急に携帯を取り出し、
「琳さん、もし病院に行かないなら、すぐお父さんにお知らせしますよ」 と脅した。君は真に私の弱みをよく知っているのだな。もし、父に知らされたら、すぐ仕事を休んで広州まで来ることに違いない。それを避けるため、最後、病院に行くよりほかはなかった。
私は病院で点滴を打ち、学校に戻った時は、もう午後6時のことだった。とても疲れていたので、知らないうちに君の車で二時間ぐらい寝ていた。その間、君は薬屋さんに頼んで漢方薬を煮てくれた。それだけでなく、スープとお粥など病人に良い食べ物を買ってきてくれた。私が起きたのは、もう8時過ぎのことだった。温かいお粥とスープを飲みながら、君の優しさが身に沁みて忘れることはなかった。その夜、君は父のことについて私に打ち明けた。初めて私は父の心の奥に触れた。突然、目の前の君はいわゆる「兄」ではなく、私の本当のおじさんの様で、父と兄弟のような強い絆で結びつき、互いに深く理解し合っていた。隙を窺って大声で「おじさん」と呼んでしまった。この思い付きで、君もびっくりした顔が現れてきたことを、今でもはっきりと覚えているのだ。これからはずっと変わらない。
おじさん、君と何十回もあったことがあるけど、殆ど父が会わせくれた。私たちが自らあったのは、以上の四回だけだね。おしゃべりを通して、君との仲がだんだん良くなったことに、心よりうれしい。父、君、それに私、三世代の文化の人間を代表し、交流の上でよく相手の思いが分かり、互いに見守りながら人生の道に進んでいくことが大切だと思う。
おじさん、本当にありがとう。
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