プレゼント

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第78期

プレゼント

女友達が浮かぬ顔をしている。どうしたのかと聞いたら、彼女かため息まじりに話し始めた。

「彼が私の誕生日を忘れていたのよ。別にプレゼントを催促する気じゃなかったの。だが覚えていてくれたら嬉しいなぁと思ってたけど、遠まわしに匂わせてみたら『あっ』って思い出してくれて、『何かプレゼントするよ』って言うの。」

「なら問題ないじゃない。」

「大有りよ。その後なんて言ったと思う？」 「さあ……」

「何でも好きなもの買っとけよ。後で金渡すからだって。」 私はしばらく息が出来ないほど笑い。これは女の脚本家が机で捻り出そうとしてもかけるセリフではない。

女はプレゼントもほしいけれど、やっぱり彼の心意がほしいのです。誕生日や結婚記念日を覚えていてくれて、忙しい合間に彼が自分で選んだ何かがほしいのである。それは多少プレゼントが合わなくても、高価なものでなくてもいい。女が自分一人で好きなものを買い、後で、 「消費税込みで2万3千5百円だったわ。」 とレシートを渡し、彼が2万4千円出して、 「ほら、釣りはいらないよ。」

では、多くの女性は悲しくなるはずである。

逆にプレゼントに頬をゆるめていた女友達もいる。彼女はきれいな小さいイヤリングを見せてくれた。

「出張の帰りにね、飛行機を乗る寸前に空港の売店で買ったんだって。やっと東京に戻れると思ったとたんに、私のこと思い出したんだって。」

心がゆるむと同時に、彼女を思い出した。という言葉に加えて、空港の売店に駆け込んだ彼の姿がのイヤリングは三倍輝く。 プレゼントにはやっぱり「甘さ」がほしい。

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