《上级で学ぶ日本语》の教程(Word)第5课 [猫ばばと死刑]

2022-12-05 19:55:16   文档大全网     [ 字体: ] [ 阅读: ]

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第5課 [猫ばばと死刑]



お金や貴重な物を拾っても、知らぬ顔をして自分の物にしてしまうことを「猫ばばする」と言うが、この言葉がマスコミをにぎわした事件があった。

関西のあるスーパーで、客が金を拾ったのが事の始まりである。「店内で拾った」と言って十五万円の現金を手渡されたスーパー経営者の妻Aさんは、すぐに近くの交番に届けた。ところが、警察がそんなお金は受け取っていないと言い出したことから、事件は妙な方向に動き出した。警察は、Aさんが実際はお金を猫ばばしていながら、届けたとうそをついているとして捜査を始め、次第にAさん夫婦及びその家族を追い詰めていく。あわや逮捕というところで、実は届け出を受けた交番の警察官が猫ばばしていたことが判明し、ともあれ事件は解決した。しかし、その間、嫌疑をかけられたAさんが世間から白い目で見られ、苦しめられたのは言うまでもない。事件の成り行きいかんでは、Aさんが犯人にされる恐れさえあった。マスコミはこの事件を人権問題として取り上げたが、事件の報道に接して、同じようなことが自分の身に降りかからないとも限らないと、ぞっとした人も少ながらずいたことであろう。

時代はさかのぼって、一九四九年八月、歴史に残る大事件があった。これは青森県弘前市で大学教授の妻が忍び込んだ何者かに襲われ殺害されたもので、教授夫人殺人事件とあって、当時の同県警察本部は、全力を挙げて捜査に当たった。その結果、事件から二週間ばかりして、Nさんという二十五歳になる青年が容疑者として逮捕された。犯行を否認し、無実を主張するNさんに対して、地方裁判所は証拠不十分で無罪の判決を下すのだが、検察側は控訴。高等裁判所、最高裁判所と審理が続けられた末に、懲役十五年の刑が確定し、Nさんは服役した。

ところが、この事件には思わぬ結末が待っていた。Nさんが刑期を終え刑務所を出てから数年後、真犯人が名乗り出たのである。審理が再開され、最終的にNさんの無実が証明された。逮捕されてから三十年にしてやっと勝ち取った無罪判決である。無罪までの長い道のりを歩んだ二十五歳の青年は、そのとき既に五十五歳になっていた。

無実の者が有罪の判決を下されることを「えん罪」と言う。Nさんの事件以外にも、身内や支援グループの長年にわたる努力が実を結び、死刑が無罪に逆転したというえん罪事件がいくつかある。えん罪事件の報道のたびに、「もし

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間違えって逮捕されていたのが自分だったら…」と、それを我が身の事として考えた人も少なくなかったはずである。死刑の判決が下され執行された後で、それがえん罪であったことが判明した場合、一体誰が、どんな責任を取り得るのであろうか。人が人を裁くことの恐ろしさを考えずにはいられない。

一九八九年、国連では多くの国の支持を得て、死刑廃止条約が採択された。これを契機に、死刑制度を一部ないしは全面的に廃止する国が増え、二〇〇四年現在、その数は百十か国以上に上っている。一方、国内にあっては、国連での条約の採択に先立ち、一九八八年、政府によって「犯罪と処罰に関する世論調査」が実施された。それによると、調査対象となった人のうち三人に二人が「死刑制度廃止の是非」に反対の立場を選択した。政府はこの調査結果を検討した上で、条約の採択を見送るという結論に至った。この調査では、死刑廃止に反対する理由として「『罪を憎んで人を憎まず』で、建て前としては死刑廃止論に賛成です。しかし、身内の一人が殺され、ましてそれが我が子であったりした場合、恨みを晴らさずにはおかない。何とかできないものか。法律でできないなら、いっそこの手で犯人を殺してやる...そう思うのが人の情というものではないでしょうか」と、人間の本音が語られている。感情的には確かに納得するに足る意見である。 裁判が人間の判断に基づいて行われる以上、間違いが生じないとは言い切れない。現に、「猫ばば」事件では、不正を正し、市民の安全を守るべき警察からして組織内部の不正すら見つけられず、市民に疑いをかけるという始末である。また、三十年もの間殺人犯扱いされ、人生の大半を犠牲にしたNさんのような人もいる。

日本では、裁判をより身近で信頼できるものにするため、二〇〇九年までに裁判員制度が導入される。抽選で選ばれた一般市民が裁判に加わることになるのだが、制度がどのように変わっても、第二、第三のAさん、Nさんが現れないと断言できる保証はどこにもない。人が人を裁くということ、自らの問題として今一度考えてみる良い機会ではないだろうか。

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