社会起业へ高まる関心

2023-05-05 15:22:12 文档大全网 [ 字体：小中大 ] [ 阅读： ]

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社会起業へ高まる関心

ニートフリーター問題など現在の若者に日々対しては批判的な議論が多いが、大学で二十歳前後の若者に日々接していて感じるのは、“単なるお金儲けではなく何らかの形で社会に貢献したい”というニーズが、少なくとも潜在的には強いということである。一方、“２００７年問題”様々に論じられる中、“団塊世代の地域デビュー”といったことが話題となり、中高年層の新たな社会への関わりが問われる時代となっている。

こうした背景の下で、何らかの社会的問題の解決を目標に掲げて事業を起こす“社会起業家”への関心が高まるのはある意味でごく自然にことともいえ、実際、ここ一、二年の間にこの言葉をタイトルに掲げる本の出版が続いている。具体的な事例報告

最近のひとつの典型は編著＜ソーシャルアントレプレナーシップ＞で、福祉や教育、環境などの分野で文字通り社会起業を先駆的に実践してきた六人の方々に事例報告や体験談をベースとし、それに考察、展望を組み合わせる形での読みやすい本となっている。扱われる事例は在宅福祉サービス、病児保育、不登校、自然保護、国際協力など多岐にわたっている。

同書は基本的に日本国内での社会起業が中心だが、こうした様々なケース紹介の国際版といえるのが、シルヴァンダルニル他著＜未来を変える８０人＞やデービッドボーンステイン著＜世界を変える人たち＞である。

このうち前者はブラジルで出会った二人のフランス人が、一年余りをかけて世界に社会起業家と呼べる人を訪ねインタビューした記録をまとめたもので、持続可能な発展ないし環境問題に関する新たな試みが中心に紹介されている。後者はアメリカ人にジャーナリストがやはり世界の社会起業家十人のケースを紹介したものであり、世界にネットワークをもつ社会起業家の支援組織である“アショカ”の例がくわしく論じられている。以上に本はいずれも具体的な事例が中心であるが、それだけに訴えてくる力も強く、これらを読

んで元気をもらう読者も多いだろう。

他方、日本での大きな流れを振り返ると、一九九八年に特定非営利活動促進法（ＮＰO法）が施行され、ＮＰO法人は現在三万を超えた。日本におけるＮＰOその他の社会起業の展開はいわば第二段階というひとつの意味は、単なる一時的な活動ではなく、事業の持続可能性が大きな課題となり、資金調達やマネジメント、業績評価といったことが、部分的には一般の企業と類似する形で問われるようになるということである。もともと“社会起業”という場合、組織の形態は多様であり、ＮＰO法人に限らず株式会社などの形態も除外されるものではなく、むしろ“営利と非営利のクロスオーバー”という現象が社会起業の基本的な背景でもある。

こうした社会起業をめぐるマネジメントや組織形態などについては、＜ソーシャルベンチャー＞が包括的な視座を提供する。なお、社会起業の形態はヨーロッパでは協同組合なども含まれるが、従来の枠を超えた新しい組織形態が世界的に求められている。

支援システム重要

そして今後は、社会起業を支援する助成制度やネットワーク、養成、金融、公共政策など様々なシステムが一層重要となる。社会システムについては編著＜ソーシャルガバナンス＞を参照されたい。また様々な事例を集積し、成功モデルを多様な形で共有していくことが大きな課題である。

冒頭に述べたような各世代のニーズを考えれば、ＮＰOへの就職案内や会社情報のようなデータベースの充実も必要だろう。大学も積極的に関与しながら、そうした支援システムを整備していくことがこれからの時代の要請といえる。