金太郎

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金太郎（きんたろう）

金太郎は足柄山（あしがらやま）の奥で、お母さんと二人で暮らして（くらして）いました。金太郎はまるまる太った（ふとった）、元気な男の子です。いつも大きな鉞（まさかり）を担いで（かついで）、山の奥に行っては木を切り倒して（きりたおして）、遊んでいました。

ある時、熊（くま）が出てきて、金太郎をにらみつけました。 「俺の森で勝手（かって）に遊ぶな。」熊はそう叫ぶ（さけぶ）と、金太郎に飛びかかってきました。 「何をっ。」金太郎は鉞を放り出す（ほうりだす）と、いきなり、熊を目より高く差し上げ（さしあげ）ました。

どしん！と地面「地面」に投げ（なげ）つけました。 「まいったあ。」熊は降参（こうさん）しました。すると、それを見ていた鹿（しか）や猿や兎（うさぎ）が出てきて、皆金太郎の友達になりました。

今日は皆で相撲（すもう）を取ることにしました。金太郎は鉞（まさかり）を担いで（かついで）、熊にまたがります。広場（ひろば）着くと、すぐに取り組みです。金太郎は土俵（どひょう）の真ん中に立ち（たち）ました。

「面倒だ、皆一緒にかかってこい。」

熊、鹿、猿、兎が一度に金太郎に組み付（つ）きました。でも、金太郎が体をぶるんと振る（ふる）と、動物たちは弾き（はじき）飛ばされてしまいました。

相撲を取った帰りは、近道（ちかみち）をすることにしました。

途中、崖（がけ）があって、下を川が流れて（ながれて）いました。でも、橋がかかっていません。金太郎は傍の大きな木を力（ちから）いっばい押（お）しました。

めりめりめり、木が倒れて（たおれて）立派な橋が出来上が（できあが）りました。この様子を遠くからじっと見ている侍がいました。

侍は碓井貞光（うすいさだみつ）と言いました。日本一強い大将（たいしょう）源来光（みなもとらいこう）の家来（けらい）です。

やがて、貞光は金太郎の家にやってきました。そして、金太郎に「おじさんと力比べ（ちからくらべ）をしよう。」と言いました。

金太郎と貞光はがっぷりと組み合いました。 「えーい。」 「そーれ。」

二人ともすごい力です。やがて、貞光が言いました。「分かった、もういいだろう。」 貞光は、金太郎のお母さんにこう申（もう）し出（で）ました。「私は日本中（じゅう）を歩いて、強い侍を探し（さがし）ているのです。金太郎は力が強いし、心も優しい。都（みやこ）に連れて（つれて）いって、立派な侍にしたいのですが。」

これを聞いて、お母さんは大喜び（おおよろこび）です。 「どうかこの子を立派な侍にしてください。」 金太郎がいよいよ都へ行く日が来ました。金太郎は、お母さんの前に手をついて言いました。「では、行ってまいります。」

家の外では、熊や鹿（しか）、猿、兎（うさぎ）が集まっていました。金太郎は皆の頭をなでながら言いました。「きっと立派な侍になって、戻ってくるからね。」

金太郎は都に着くと、『坂田金時』（さかたのきんとき）という名前を付けて（つけて）もらいました。


そして、来光（らいこう）や貞光たちと一緒に、大江山（おおえやま）の鬼（おに）を退治（たいじ）しました。金時はもう立派な侍だと来光は言いました。

そこで、金時はお母さんに会うため、足柄山（あしがらやま）に戻ってきました。熊や鹿、猿、兎も喜んで侍姿の金時を迎え（むかえ）ました。

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