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和歌
1. 雁なきてさむき嵐のふくなべに立田の山はいろづきにけり。
けり 過去の助動詞 基本系は けり 雁が鳴くような寒い嵐の吹く夜に立田の山は色づいた。 2. 風吹けば沖つ白波たつた山夜半にや君が一人越ゆらむ。
らむ 推量の助動詞 基本系は らん 風が吹けば沖の白波が立つ、竜田山をこの夜更けに、あの人はひとりで越えているのだろうか。
3. 冬ながら空より花の散りくるは雲のあなたは春にやあるらむ。
らむ 推量の助動詞 基本系は らん 冬なのに空から花が降ってくるのは、雲の向こう側は春なのだろうか。 4. 降る雪はかつぞ消ぬらしあしひきの山のたぎつ瀬音まさるなり。
なり 伝聞推定の助動詞 基本系は なり 降る雪はすぐに消えているのだろう、山の激しい川の音がいっそう増しているのだ。 5. 世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし。
せ 過去の助動詞 基本系は き まし 推量の助動詞 基本系は まし
この世の中にまったく桜の花がなかったならば、春はさぞかしのどかであろうに。 6. 行き暮れて木の下蔭を宿せば花や今宵の主ならまし。
なら 断定の助動詞 基本系は なり まし 推量の助動詞 基本系は まし
旅をゆくうち日が暮れて。桜の木陰を宿とすれば、花が今夜の主ということになるなあ。 7. 春来ぬと人は言へども鶯の鳴かぬがぎりはあらじとぞ思ふ。
ぬ 完了の助動詞 基本系は ぬ ぬ 打消しの助動詞 基本系は ず じ 打消しの助動詞 基本系は ず
春が来たと世間の人は言うけれども、鶯が鳴かない限り、まだ春ではあるまいと私は思う。
8. 秋の野に人まつ虫の声すなりわれかと行きていざとぶらはむ。 无助词
秋の野に人を待つ松虫の声がするのが聞こえる。私を待っているのかと思って、出かけて尋ねてみよう。
9. 秋来ぬと目にはさやかに見えぬども風の音にぞ驚かれぬる。
ぬ 完了の助動詞 基本系は ぬ
ぬ 打消しの助動詞 基本系は ず
れ 自発の助動詞 基本系は ぬ ぬる 完了の助動詞 基本系は ぬ 秋が来ているのを目にはっきりと見ることはできないけれど、風の音で秋の気配を感じて驚いた
10. 風吹くと枝を離れて落つまじく花とぢつけよ青柳の糸。
まじく 打消し推量の助動詞 基本系は まじ 風が吹くというので枝から離れて散ることのないように、青柳の糸よ、桜の花を枝にとじつけてくれ。
11. 春過ぎて夏来たるらし白妙の衣ほしたり天ぼ香具山。
たる 完了の助動詞 基本系は たり らし 推量の助動詞 基本系は らし たり 完了の助動詞 基本系は たり 春が過ぎて、夏が来たらしい。真っ白な衣服を天の香具山に干してしまった。 12. 鳴く声も聞こえぬものの恋しきは忍びに燃ゆるほたるなりける。
ぬ 打消しの助動詞 基本系は ず なり 断定の助動詞 基本系は なり 鳴く声も聞こえないものの、恋しいはひそかに燃える蛍であった。
13. 春の野に若菜摘まむと来しものを散りかふ花に道は惑びぬ。
む 推量の助動詞 基本系は む し 過去の助動詞 基本系は き
春の野に若菜を摘もうと来ましたが、山桜の散り乱れている道に迷ってしまいました。 14. いつはりと思ふものから今更にたがまことをか我はたもまむ。
む 推量の助動詞 基本系は む
偽りの言葉だとは思うけれども、今更他の誰を信じて頼みにできるというのでしょう
15. 言問はぬ木すら妹とと兄ありろふをただ独り子にあるが苦しさ。
ぬ 打消し助動詞 基本系は ず に 断定の助動詞 基本系は なり
ものを言わない木でさえも兄弟があるというのに、たったの独り子であるのが苦しい。 16. 忍ぶれど色に出でにけりわが恋は物や思ふと人の問ふまで。
に 完了助動詞 基本系は ぬ けり 過去の助動詞 基本系は けり 心に秘めてきたけれど、顔や表情に出てしまっていたようだ。私の恋は、「恋の想いごとでもしているのですか?」と人に尋ねられるほどになって。
17. 世の中は空しきものと知る時しいよよますます悲しかりけり。
けり 過去の助動詞 基本系は けり 世の中は空しいものだと知るにつけ、ますます悲しみが深まってしまう。
18. 八重むぐら茂れる宿のさびしきに人こそ見えぬ秋は来にけり。
る 完了の助動詞 基本系は り ぬ 打消しの助動詞 基本系は ず に 完了助動詞 基本系は ぬ
けり 過去の助動詞 基本系は けり つる草が何重にも重なって生い茂っている荒れた家。訪れる人は誰もいないが、秋はやってくるのだなあ。
19. 武藏野は今日はな焼きそ若草の妻も隠れりわれも隠れり。
り 完了助動詞 基本系は り り 完了助動詞 基本系は り
武蔵野は、今日だけは焼かないでくれ。この野には私の美しい妻も隠れているし、私も隠れているのだから。
20. 筒井筒井筒井にかけしまろがたけ過ぎにけらしな妹見ざるまに。
し 過去の助動詞 基本系 き に 完了助動詞 基本系は ぬ け 完了助動詞 基本系は けり らし 推量助動詞 基本系は らし ざる 打消しの助動詞 基本系は ず 妹と長く会わないでいるうちに、幼いころ、井戸枠と丈くらべをしていた私の背丈も井戸を越したようです。
21 蝿こそ憎きもののうちにいれつべく愛敬なきものはあれ
无助词
蝿こそは憎らしいものの中に入れるべきで、かわいげがないものだ。
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